P-125・FP-30をPCで自動演奏|USB1本・ドライバー不要

白いYAMAHA P-125の前、ピアノの椅子に置いたノートPCで自作のMIDIプレーヤーが再生中。左側に「P-125・FP-30」「パソコンから自動演奏・USB1本」の文字 その他

自宅の電子ピアノ YAMAHA P-125 に、パソコンからMIDIデータを送って自動演奏させるようにしました。USBケーブル1本でつなぐだけで、トルコ行進曲や月光をP-125のピアノの音で鳴らせます。あとから、ローランドの電子ピアノ FP-30 でも同じことを試しました。

再生用のプレーヤーは、ブラウザで開くHTMLファイル1枚で自作し、このブログで公開しています。プログラムと演奏データの調整は、AI(Claude)に手伝ってもらっています。この記事では、つなぎ方と、実機で試して初めて分かったつまずきどころをまとめます。

P-125で自動演奏している様子(42秒・音が出ます)。音はノートPCではなくP-125のスピーカーから出ている。曲はモーツァルト『きらきら星変奏曲』(演奏データの作者とライセンスはYouTubeの説明欄に記載)

できること・できないこと

最初に勘違いしやすい点から。鍵盤は動きません。P-125もFP-30も自動演奏ピアノではないので、パソコンから送った音は「ピアノの音源で鳴る」だけです。鍵盤がひとりでに沈むわけではありません。

上から見た白いYAMAHA P-125。88鍵の鍵盤と、左右のスピーカーの間に並ぶ操作ボタン
上から見たP-125。鍵盤を動かす仕掛けはなく、パソコンからの音は本体のスピーカーで鳴る
  • できる:パソコンのMIDIファイル(.mid)を、ピアノのスピーカーとピアノの音で鳴らす
  • できる:ピアノの鍵盤で弾いた演奏をパソコンに記録して、.midファイルに保存する(ペダルや強弱も残る)
  • できる(FP-30):本体の鍵盤を、パソコンで選んだ弦などの音色で弾く
  • できない:鍵盤を動かす、楽譜を自動でめくる

録音は、弾いた演奏をあとで同じピアノで鳴らし直せるので、自分の練習の聴き返しに使えます。

つなぎ方:USBケーブル1本、ドライバーなし

どちらのピアノも、USBケーブルでパソコンとつなぐだけです。MIDIのやりとりだけなら、メーカーのドライバーを入れる必要はありませんでした。

YAMAHA P-125Roland FP-30
つなぐ端子背面の「USB TO HOST」「USB COMPUTER」
Windowsでの表示名Digital PianoRoland Digital Piano
ドライバー不要(USBで音声も録音したいときだけ必要)不要だった
本体の設定初期のままでよい(全16チャンネルを受信)初期のままでよい(全16チャンネルを受信)

パソコンはWindowsで、ブラウザはEdgeかChromeを使います。ブラウザから楽器につなぐ「Web MIDI」という機能を使うためです。P-125の後継のP-125aも、MIDIの仕様(音色表など)はP-125と同じです。

P-125本体の「DIGITAL PIANO P-125」の表示。右のスピーカーの上にアリクイのぬいぐるみが乗っている
うちのP-125。右側のスピーカーの横に型番の表示がある

P-125:デバイスマネージャーのエラー表示は気にしなくていい

P-125をつないだあとにデバイスマネージャーを開くと、「Digital Piano」の項目のうち1つにエラーの印が出ていました。最初は接続の失敗かと思いましたが、これはUSBオーディオ側の項目で、MIDIには使わない部分です。MIDI側の項目は正常で、送信も受信も問題なく動きました。

作ったプレーヤー

市販のソフトを入れずに済むよう、ブラウザで開くプレーヤーを作りました。.midファイルを画面にドロップして再生ボタンを押すと、ピアノから音が出ます。下のボタンから、P-125かFP-30をお持ちの方はそのまま使えます。

  • パソコンのChromeかEdgeで開く。iPhone・iPadのブラウザは楽器につなぐ機能(Web MIDI)がないので使えない。Androidのスマホでの動作は確かめていない
  • 初めて開くと「MIDIデバイスの使用」の許可を求められるので、許可する
  • Edgeなら、アプリとしてインストールできる。プレーヤーを開いた状態で、右上のメニュー(…)→「アプリ」→「このサイトをアプリとしてインストール」を選ぶと、次からはデスクトップのアイコンで専用のウィンドウが開く
  • ヤマハ・ローランドの公式ではない、個人製作のツールです。曲のデータは入っていないので、手持ちの.midファイルを使ってください
トルコ行進曲を再生中の自作MIDIプレーヤー。右手は青、左手はオレンジの帯で上から流れ、88鍵の鍵盤に届いた音が光っている
トルコ行進曲を再生中の画面。音符の帯が上から流れ、鍵盤に届いた音が光る
  • 音符が上から流れてきて、88鍵の鍵盤に届いた瞬間に鳴る(ピアノロール表示)
  • 右手・左手など、パートごとに色分け。ピアノの鍵盤で自分が弾いた音は赤く光る
  • 再生の速さを25〜200%で変えられる。途中からの再生もできる
  • 鍵盤で弾いた演奏を録音して.midで保存
  • つないだピアノの名前から、P-125かFP-30かを自動で見分けて、その機種の音色の一覧に切り替える
  • 再生中は、パソコンの画面が暗くならないようWindowsに求める(長い曲の途中で画面が消えないように)

画面のデザインはChatGPTに、中身のプログラムはClaudeに作ってもらい、それぞれの役割を分けました。

毎回ブラウザでファイルを開くのは手間なので、自分用にはデスクトップのアイコンをダブルクリックすると、アプリのように専用のウィンドウで開くようにもしました。中身は同じHTMLファイルで、Edgeのアプリ表示で開いているだけです。公開しているプレーヤーも、上の手順でEdgeにインストールすれば同じ使い方になります。

デスクトップに置いたP125Playerのアイコン。鍵盤の上に青とオレンジの音符の帯
デスクトップに置いたアイコン。ダブルクリックで専用ウィンドウが開く

実際にやって分かった、4つのつまずき

つないで鳴らすところまでは、すぐにできました。手間がかかったのはその先です。どれも、説明書やネットの接続手順には出てこなかったものです。

1. ネットのMIDIは「繰り返し」を省いていることがある

『エリーゼのために』を鳴らしていて、楽譜を見ながら聴くと流れが合わないことに気づきました。調べると、元にしたMIDIデータは楽譜の反復記号を展開しておらず、「1番かっこ」と「2番かっこ」を続けて1回ずつ鳴らすだけになっていました。繰り返すはずの部分が、まるごと抜けていたのです。

今回借りたデータは、繰り返しのある曲がどれもこの形でした。全曲を楽譜と突き合わせ、エリーゼ・トルコ行進曲・ソナタK.545・アラベスクの4曲を楽譜どおりの順番に並べ直しています。並べ直したあとの音の数は、楽譜を順に数えた数と4曲とも一致しました。楽譜が手元になかった『きらきら星変奏曲』は、旋律の区切りから判断して並べ直しました。

2. 強弱が一定で、機械的に聞こえる

楽譜から作られたMIDIデータは、強弱がほぼ一定だったり、最大値の127に張り付いていたりするものが多くありました。ソナタK.545の元データは、展開部の強弱が127のままです。そのまま鳴らすと、どの音も同じ強さで叩いているように聞こえます。

そこで、音の高さとタイミングには手を付けず、強弱・テンポの揺れ・ペダルだけを付け直しました。月光は3連符をごく弱く、旋律を浮かせて、低音が変わるたびにペダルを踏み替える、といった具合です。

3. ウィンドウを最小化すると、リズムが崩れる

再生中にプレーヤーを最小化すると、演奏がつっかえるようになりました。Edgeは、最小化したページの処理を省電力のために間引きます。0.025秒ごとに動くはずの処理が、最大で約1秒に1回まで減っていました。

試験用のページで、最小化してから8秒間に送った音を数えると、修正前は50音中37音が予定より遅れ、いちばん遅い音で約0.8秒ずれていました。間引かれない仕組み(Web Worker)にタイマーを移したあとは、60音中0音です。6分半最小化したままの試験でも、720音中で遅れたのは1音(0.085秒)でした。

4. 音色の番号が、メーカーごとに違う

ネットのMIDIデータの多くは、「GM」という共通の番号で音色を指定しています。ところがP-125の24音色はヤマハ独自の番号、FP-30の35音色はローランド独自の番号の割り当てです。別の番号のつもりで送られた音色の指定を受け取ると、意図しない音色に切り替わってしまいます。

プレーヤーでは、ファイルの音色指定を送らず、どのパートも基本は「グランドピアノ」で鳴らすようにしました。音色を変えたいときは、メーカー公式の資料(ヤマハのMIDIリファレンス、ローランドのMIDIインプリメンテーション)の音色表をもとに、その機種の番号で選び直せます。

ローランドFP-30で分かったこと

FP-30の実機にもつないで、同じプレーヤーで鳴らしてみました。再生はそのままできましたが、音色まわりはP-125と勝手が違い、公式の資料どおりにいかないところもありました。

黒いRoland FP-30を斜め上から見たところ。88鍵の鍵盤と譜面台、左奥に操作ボタンが並ぶ
ローランドのFP-30。同じプレーヤーで、USBケーブル1本で鳴らせた

本体の音色ボタンは、パソコンからの再生には効かない

FP-30の本体で音色を「Strings(弦)」にしてから、パソコンの曲を再生しても、ピアノの音のままでした。ローランドのサポート記事には「MIDIの4チャンネルだけは本体で選んだ音色で鳴る」とありますが、手元で1・2・4チャンネルを鳴らし比べたところ、どれもピアノのままでした。

P-125には、本体の音色ボタンを押すとその音色の番号がパソコンに届く仕組みがあり、プレーヤーはそれを読み取って再生の音色を合わせています。FP-30でも同じことができないか、パソコンに届く信号を記録して確かめましたが、音色ボタンを押しても何も送られてきませんでした。

FP-30の操作パネルのアップ。左から電源、音量、Bluetooth(FUNCTION)、音色のPIANO・E.PIANO・OTHERボタン
FP-30の操作パネル。音色ボタン(PIANO・E.PIANO・OTHER)を押しても、パソコンには何も送られてこなかった

パソコンから音色を指定すれば、弦の音でも鳴らせる

本体のボタンが効かない代わりに、パソコンから音色の番号を送れば、再生の音色は変わります。ローランド公式のMIDIインプリメンテーションにある35音色の表をプレーヤーに入れ、FP-30につなぐと自動でその一覧に切り替わるようにしました。実機で確かめたのは弦(Strings 1)です。

本体の鍵盤の音色は、パソコン経由で変える

本体の鍵盤で弾く音を、パソコンで選んだ音色にしたい場合もあります。ところが、パソコンから全チャンネルに弦の音色を送っても、FP-30の鍵盤はピアノの音のままでした。鍵盤の音色は、パソコンからは変えられないようです。

そこで、本体の「ローカル」をオフにしました。ローカルオフにすると、鍵盤を弾いても本体の音源は鳴らず、演奏の信号だけがパソコンに届きます。プレーヤーがそれを選んだ音色ですぐ送り返すので、鍵盤を弾くと弦の音で鳴ります。パソコンを一往復するぶん遅れるはずですが、弾いていて遅れは気になりませんでした。プレーヤーの「本体の鍵盤の音色」で音色を選ぶだけで、ローカルの切り替えも自動でします。

鍵盤の音が出なくなったら、電源を入れ直す

ローカルオフにしたままUSBケーブルを抜いたり、ブラウザを閉じたりすると、FP-30がローカルオフのまま残り、鍵盤を弾いても音が出なくなることがありました。そのときは、FP-30の電源を入れ直せば元に戻ります。ローカルの設定は、電源を切ると保存されないためです。プレーヤーは、ピアノにつながったときにローカルをオンに戻す命令を送るようにしてあるので、開き直すだけでも戻ります。

鳴らしている曲

楽譜どおりに直して、P-125で聴いて確かめた曲です。元のデータは、楽譜とMIDIを無料で公開している「Mutopia Project」と「IMSLP」から借りました。

曲長さ手を入れたところ
モーツァルト『トルコ行進曲』3:45繰り返し9か所を展開。短調は控えめ、長調は強く
モーツァルト『ピアノソナタK.545』第1楽章4:39前半・後半の繰り返しを展開。127張り付きの強弱を付け直し
モーツァルト『きらきら星変奏曲』12:39各変奏の繰り返しを展開。変奏ごとに強弱と速さを変えた
ベートーヴェン『エリーゼのために』2:54繰り返し2か所を展開。和音ごとにペダル
ベートーヴェン『月光』第1楽章5:12ごく弱い3連符と、浮かせた旋律
ブルクミュラー『アラベスク』0:45左手をスタッカートに。繰り返し2か所を展開
ムソルグスキー『展覧会の絵』プロムナード1:41呼びかけと和音の答えで強さに差
パッヘルベル『カノン』ピアノ独奏編曲1:42低音と最初の6変奏は原曲どおり、その先はAIに編曲させた変奏

K.545などに出てくるトリル(細かく音を揺らす装飾)は、元のデータに入っていないので鳴りません。

クラシックでも、MIDIデータには作った人の権利がある

今回の曲は、どれも作曲者が亡くなってから長い年月がたち、曲そのものの著作権は切れています。ただし、ネットで公開されているMIDIデータには、打ち込んだ人が決めた利用条件(クリエイティブ・コモンズなど)が付いていることがあります。

自宅で鳴らして楽しむだけなら、気にする必要はありません。手を加えたデータを配ったり、録音して公開したりするときは、作者の表記や同じ条件での公開が求められます。今回使った『きらきら星変奏曲』のデータは「非営利に限る」条件付きでした。使う前に、配布ページの条件を確認しておくと安心です。

MIDIデータのダウンロード

配布してよい条件のものは、ここからダウンロードできます。プレーヤーの画面にドロップすれば、そのままP-125やFP-30で鳴らせます。

曲(長さ)元データ・ライセンスファイル
モーツァルト『トルコ行進曲』(3:45)Mutopia(Rune Zedeler、Chris Sawer)・パブリックドメインダウンロード
ベートーヴェン『エリーゼのために』(2:54)Mutopia(Stelios Samelis)・パブリックドメインダウンロード
ブルクミュラー『アラベスク』(0:45)Mutopia(Bas Wassink)・パブリックドメインダウンロード
バッハ『平均律第1巻 前奏曲第1番』(2:20)※Mutopia(Tobias Erbsland)・パブリックドメインダウンロード
パッヘルベル『カノン』ピアノ独奏編曲(1:42)自作の編曲ダウンロード
『朝の光』(2:11)Claudeによる作曲ダウンロード
『空へ』(3:51)Claudeによる作曲ダウンロード
ベートーヴェン『月光』第1楽章(5:12)Mutopia(Chris Sawer、Stewart Holmes)・CC BY-SA 2.5ダウンロード
モーツァルト『ピアノソナタK.545』第1楽章(4:39)Mutopia(Alejandro Sierra)・CC BY-SA 3.0ダウンロード
ムソルグスキー『展覧会の絵』プロムナード(1:41)Mutopia(stelios)・CC BY-SA 4.0ダウンロード
バッハ『小フーガ ト短調』ピアノ版(3:08)IMSLP(Pierre Gouin)・CC BY-SA 4.0ダウンロード
パッヘルベル『カノン』原曲の4声(4:18)Mutopia(Michael Fischer v. Mollard)・CC BY 4.0ダウンロード
ショパン『ノクターン 作品9-2』(3:22)※Mutopia(Renato Biolcati Rinaldi)・CC BY-SA 3.0ダウンロード
サティ『グノシエンヌ第1番』(3:16)※Mutopia(Knute Snortum)・CC BY-SA 4.0ダウンロード
  • ※の3曲は元データのままです(強弱やペダルは付けていません)。ほかの曲は、元データの音の高さとタイミングはそのままに、強弱・テンポ・ペダル・繰り返しを直したものです
  • パブリックドメインの元データから作った曲と、自作・Claudeによる作曲の曲は、自由に使ってかまいません
  • CC BY・CC BY-SA の曲は、手を加えた演奏データも元データと同じライセンスで公開します。配ったり作り直したりするときは、元データの作者名とライセンスを書いてください(CC BY-SA は同じライセンスで公開する必要があります)
  • 『きらきら星変奏曲』は、元データが非営利に限る条件のため配布していません

まとめ

  • P-125もFP-30も、USBケーブル1本でパソコンとつながる。MIDIだけならドライバー不要、設定も初期のままで鳴る
  • 鍵盤は動かない。ピアノの音源で鳴らす仕組み
  • P-125のデバイスマネージャーのエラー表示はUSBオーディオ側のもので、MIDIには影響しない
  • ネットのMIDIは、繰り返しの省略・一定の強弱・音色の番号の3点を確認してから使う
  • FP-30は、本体の音色ボタンが再生に効かない。音色はパソコンから指定し、鍵盤の音色はローカルオフにしてパソコン経由で変える
  • FP-30の鍵盤が鳴らなくなったら、電源を入れ直す
  • 楽譜どおりに直したMIDIデータ14曲を、この記事からダウンロードできる

家にある電子ピアノが、そのまま再生機になるのは思った以上に楽しいものです。P-125かFP-30を持っている方は、まずUSBケーブル1本から試してみてください。

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